Aさんが、「ご自由にお取りください」と10個のアメを置いていきました。
Bさんがやってきて、7個持って行きました。
残ったアメは3個です。
この状態で、最大あと何人がアメを手に入れられるでしょうか?
1人1個とすると、3人ですね。
Bさんが7個持って行かなければ、もっとたくさんの人がアメを貰えたはずです。
そこでAさんは、「アメは1人1個まで」と決めました。
そうすることで、アメを貰える人数は10人に増えました。
めでたしめでたし・・・・・。
-------------------------------
実は占有周波数帯幅も、これと似たようなものです。
電波は無限にあるわけではありません。
このため、電波の周波数は用途ごとにきっちり決められています。
どの周波数を何に使うかを決める、いわゆる「周波数の割り当て」は、総務省で行っています。
※総務省 電波利用ホームページ 我が国の電波の使用状況(詳細)より抜粋
例えば440MHz~470MHzは、主に空港、NTT東西の加入者線災害対策臨時電話、バス、タクシー、鉄道等の業務用無線用として割り当てられています。
ですが、この周波数帯でちゃんと使っていても、1つの無線局が周波数帯の上から下まで自分のものにしてたら、あっという間にその周波数帯は空きがなくなっちゃいますよね。
なので、どこまで占有(自分のものとして所有)して良いか、決める必要があります。
このため、電波法には「占有周波数帯幅」というものが定められているのです。
占有周波数帯幅を視覚的に見てみよう
占有周波数帯幅が関係してくるのは、電波を送信する時です。
無線では、「搬送波」というものに音声などの情報を乗せて送ります。
情報を乗せるために搬送波を変化させることを「変調」と言いますが、変化していない状態(=無変調)の搬送波は、こんな形をしています。
すなわち「周波数が一定」ということです。
この状態を横軸に周波数、縦軸にそのレベル(大きさ)をとったグラフで表すと、次のようになります。
次に、搬送波に変調(周波数変調)をかけてみましょう。
周波数変調とは、信号波(情報が乗っている波)の振幅に応じて、搬送波の周波数を変化させる方式でした。
仮に上のように変調をかけたとします。
一定の周波数ではなく、色々な周波数が混ざった状態です。
この状態を、先程と同じグラフで表してみましょう。
グラフからもわかるように、色々な周波数が混ざっているので、波形は山のように広がった形になります。
そして占有周波数帯幅というのは、下図の矢印で示した範囲を指します。
厳密には、電波法で次のように定められています。
要は、「f1以下の周波数領域」に空中線電力全体の0.5%が、「f2以上の周波数領域」にも空中線電力全体の0.5%が含まれるとき、占有周波数帯幅は「f2-f1の値」ということです。
※「f1以下」と「f2以上」はほぼ無限に広がるので、実際に計算で使うのは、ある程度区切りをつけた地点までとなっています。
占有周波数帯幅について何となくイメージできましたでしょうか?
これが定められているおかげで、色々な用途で効率良く電波を使うことができるのです。