一陸特以外にも無線従事者資格はたくさんありますが、「第一級陸上無線技術士(通称:一陸技)」という資格もそのひとつです。
今回は、この一陸技の特徴や試験の概要について取り上げたいと思います。
一陸技とは?
一陸技は「一陸特」と名前が似ていますが、全くの別物です。
「一級」とあるからにはそれなりの資格だとイメージされるかもしれません。
ここで、規定されている一陸技の操作範囲について挙げてみます。
○無線設備の技術操作(アマチュア無線局の操作を除く。)
○第四級アマチュア無線局の操作の範囲に属する操作
これを見る限り、一陸技には「空中線電力○○以下」とか「周波数○○MHz以上」という指定がありません。
つまり、アマチュア無線局を除き「全ての技術操作」が可能となるわけです。
事実、この資格は無線従事者資格の中でも最高峰とされており、別の資格である「第一級総合無線通信士」と併せて持っていれば全ての操作範囲を網羅します。
なのでその分取得難易度も高くなりますが、後述するとおり、そこまで雲の上の存在ではないと個人的には思っています。
一陸技の試験について
一陸技を取得する方法はいくつかありますが、ここでは国家試験を受ける場合を取り上げます。
一陸技は年に2回、マークシート方式の試験が行われ、試験科目は「無線工学の基礎」「無線工学A」「無線工学B」「法規」の4つとなっています。
このうち、「無線工学の基礎」「無線工学A」「無線工学B」は150分で25問に、「法規」は120分で20問にそれぞれ解答します。
合格点はどの科目も全体の60%です。
あと一陸技試験の特徴とも言えるのが「科目合格制度」で、これは試験で合格点に達した科目があれば、次以降の試験科目から免除される(受けなくて良い)という制度です。
これが有効なのは、受けた試験の翌月の初めから3年間となっています。
例えば2020年の7月に実施された試験で科目合格した場合、
試験の翌月の初めは「2020年8月1日」なので、それらの科目は「2023年7月31日」まで免除扱いとなるわけです。
一陸技取得はいばらの道なのか?
多くの方々が、口を揃えて「一陸技は難しい」と言います。
確かに、試験難易度は一陸特よりも上がりますが、対策次第で十分取得できると思っています。
-----------------------------
まず、先述しました「科目合格制度」がある点。
一陸技の試験は全部で4科目、それに対して、合格点に達した科目の有効期限までの間、試験は計6回実施されます。
つまり、1回の試験で1科目ずつ合格するペースでも、3回分余るわけですね。
もしこれが「1回の試験で全ての科目が合格点に達しなければならない」という制度だったら、正直私もチャレンジしなかったでしょう。
それだけ科目合格制度というのは、受験者に対する大きな救済措置なのです。
-----------------------------
次に、一陸技と言えど、このサイトでも推奨している「過去問をひたすら暗記」というスタイルで対応できるからです。
実際私も、そのスタイルで取得しました。
一陸技も一陸特と同じく、試験問題のほとんどが過去問から出題されます。
なので過去問を主軸に置き、どうしてもわからないものはネットや参考書で調べるというやり方が一番効率的です。
一陸特でも当てはまりますが、「専門書」から理解しようとすると膨大な時間がかかるので、おすすめはしません。
合格点に達するためにはどれだけ問題が解けるかなので、1問でも多く自分のモノにしておくことが大切なのです。
更なる磨きをかけるために
無線関係の仕事に就きたいというのであれば、一陸特を持っていれば就ける可能性は高くなります。
ただ、テレビ局等に使われるような大規模な無線設備を扱うためには、一陸技は必須の資格となっています。
扱える装置の幅が広がると仕事の選択肢も増えるので、放送業界を目指している方や、既に一陸特を取得していて更にステップアップしたい方は、上位資格の一陸技を目指してみてはいかがでしょうか。