QAM(カム)は直交振幅変調といい、数ある変調方式のひとつです。
無線では、音声などの情報は搬送波と呼ばれる波に乗せて送りますが、QAMではこの搬送波が2種類使われています。
なお、直交振幅変調の「直交」は、2種類の搬送波が互いに直交していることが由来です。
ここでは、QAMの中でもシンプルな、16QAMについて簡単に説明します。
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まず、2つのうち片方の搬送波に注目します。
搬送波は文字通り「波」なので振幅をもっています。
この振幅の大きさが4通りあるとして、下図のように、4つのシンボル(点)を横軸上に表してみましょう。
図のように基準点を決めると、基準点からの距離は向きも考慮して4通りですね。
4通りなので、00、01、10、11の4つの数値を表すことができます。
次に、もう一方の搬送波をみていきます。
さっきの搬送波とは直交しているので、今度は4つのシンボルを縦軸上に表してみましょう。
基準点を決めると、この場合も向きを含めた距離が4通りで、同じように00、01、10、11の4つの数値を表すことができます。
さあ、この2つの搬送波を組み合わせると、全部でいくつの数値を表すことができるでしょう?
横向き、縦向きにそれぞれ4通りの表現方法があるので・・・
組み合わせると、全部で4×4=16通りの数値を表すことができます。
そして、この16QAMは、例えばBPSKと比べて伝送速度が格段に良くなります。
なぜかというと、BPSKでは、1つのシンボルに1ビット(0か1のどちらか)しか割り当てられません。
それに比べて16QAMでは「0000」や「0010」のように、1つのシンボルに4ビットも割り当てることができます。
つまり、1つのシンボルをポンっと送信するとき、16QAMではBPSKの4倍のビット数を一度に送信できるのです。
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QAMには、とり得るシンボル数が16QAMより多い64QAM、256QAM等もあり、一度に送ることができるビット数も6ビット、8ビットと増えていきます。
当然伝送速度もその分上がるのですが、256QAMともなるとシンボルがかなり詰まった状態なので、受信側で符号(0や1)の判別を誤る可能性が高くなります。
このため、伝送速度が上がるからといって、あらゆるものに256QAMを採用するわけにもいかないのです。難しいですね。
ですが、QAM自体は様々な無線装置において変調時に使われており、今後も欠かせない技術のひとつといえるでしょう。