マイクロ波は、他の周波数の電波よりも伝送路中で減衰しやすく、雨などの気象の影響も受けやすいので、適度な距離間隔で中継する必要があります。
この方法のひとつが2周波中継方式で、名前の通り2種類の周波数を使っています。
2つの周波数をそれぞれ\(f_1\)、\(f_2\)としています(マイクロ波なので、例えば\(f_1\)は7565MHz、\(f_2\)は7545MHz等が入ります)。
この図から、
⭕中継局Aでは、\(f_1\)で受信して\(f_2\)で送信
⭕中継局Bでは、\(f_1\)で送信して\(f_2\)で受信
⭕中継局Cでは、\(f_1\)で受信して\(f_2\)で送信
となっていることがわかります。
ただ、ちょっと見辛いので色分けしてみましょう。
2種類っぽくなりましたね。
要は中継局ごとに必ず「入る」「出る」といった向きがあり、ひとつの中継局に対して向きが同じものは同じ周波数ということです。
一陸特の試験では、例えば上のような図に周波数が\(f_1\)~\(f_8\)まで与えられており、「\(f_1\)と\(f_3\)は等しい」という文章の正誤を当てるものだったりします。
なのでこのような問題が登場したら、真っ先に周波数を2種類に分けることから始めるようにしましょう。
実際の試験では色鉛筆は持ち込めないので、代わりに○×で印をつけると良いでしょう。
あらかじめこうやって分けておけば、後は選択肢から正しいものを選ぶだけなので、随分と楽になります。
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試しにひとつ問題をやってみましょう。
次の記述は、図に示すマイクロ波通信における2周波中継方式の一般的な送信および受信の周波数配置について述べたものである。このうち正しい記述はどれか。
1.中継局Aの受信周波数\(f_1\)と中継局Cの送信周波数\(f_7\)は、同じである。
2.中継局Aの送信周波数\(f_2\)と中継局Bの送信周波数\(f_3\)は、同じである。
3.中継局Bの送信周波数\(f_3\)と中継局Cの受信周波数\(f_8\)は、同じである。
4.中継局Cの送信周波数\(f_4\)と中継局Bの送信周波数\(f_6\)は、同じである。
最初の図と比べると、矢印の配置も違ったり文字も多かったりで混乱しそうですが、中継局ごとに「入るもの」と「出るもの」の2種類に分けていけば大丈夫です。
中継局Aをスタートとして、○×方式でやってみましょう。
<中継局A>
「入るもの」は\(f_1\)と\(f_6\)、「出るもの」は\(f_2\)と\(f_5\)です。
※スタート地点では、仮に「入るもの」の方を○にしています。
<中継局B>
「入るもの」は\(f_2\)と\(f_7\)、「出るもの」は\(f_3\)と\(f_6\)です。
\(f_2\)と\(f_6\)の○×は、中継局Aで決めたものをそのまま使いましょう。
<中継局C>
「入るもの」は\(f_3\)と\(f_8\)、「出るもの」は\(f_4\)と\(f_7\)です。
\(f_3\)と\(f_7\)の○×は、中継局Bで決めたものをそのまま使いましょう。
以上をまとめたものが、下の図です。
これを踏まえて選択肢を見た時、正しいのはどれでしょうか?
正解は「3」です。
他の選択肢は、○と×が一致していないので誤りです。
選択肢だけを見ると目を背けたくなりますが、落ち着いて分けていけば、正解にたどり着くことができます。
中継方式の他の問題でもぜひ実践してみてください。