次の記述は、多重通信方式について述べたものである。
( )内にはそれぞれどのような字句が入るか。
(1)各チャネルが伝送路を占有する時間を少しずつずらして、順次伝送する方式を( A )通信方式という。
この方式では、一般的に送信側と受信側の( B )のため、送信信号のパルス列に( B )パルスが加えられる。
(2)複数のチャネルを周波数別に並べて、1つの伝送路上で同時に伝送する方式を( C )通信方式という。
多重通信とは、複数の信号を1つの伝送路上で同時に送る通信方式で、主に下記の3種類があります。
〇周波数分割多重通信方式(FDM通信方式)
〇符号分割多重通信方式(CDM通信方式)
この技術が生まれたことで、わざわざ信号の数だけ伝送路を用意する必要がなくなりました。
結果的に、お金も手間も削減できたわけですね。
さて、一陸特を取得すると多重無線装置が操作できるようになるので、それに関連した問題も出題されます。
中でも上記の問題は基礎中の基礎であり、知ってれば正答できる「知識問題」です。
早速見ていきましょう。
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まず(1)については、文中に「時間をずらす」という記述がありますね。
もうこの記述が出てきたら、迷わず「時分割多重通信方式」だと思ってください。
例えば下図のように3種類のチャネルを送りたい場合、各チャネルを一気に送るのではなく、とても短い時間差で順次送り出します。
こうすることで、本来3本必要だった伝送路を1本に減らすことができます。
なお、各チャネルの情報量が増えても考え方は同じです。そのチャネルの塊ごとに送ります。
ここで、チャネルの1から3までのまとまりを「フレーム」といいます。
時分割多重の特徴のひとつになりますが、この各フレームの最初にパルスが1本挿入されます。このパルスを「同期パルス」といいます。
同期パルスは、送信側と受信側で同期をとるため、すなわち両者が全く同じ時刻に動作するために必要となります。
同期がとれないと通信が途絶えてしまうので、かなり重要なパルスです。
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続いて(2)ですが、ここには「周波数別」「1つの伝送路上で同時に伝送」といった記述がありますね。
この記述が出てきたら、「周波数分割多重通信方式」だと思ってください。
周波数分割多重とは、問題にもあるように周波数の異なる複数の信号を、ひとつの伝送路を共有させて通信を行う方式です。
この方式は、時分割多重と比べて多くのチャネルを収容できます。
ただし、上図のように各チャネルの周波数を同時に送っているので、万が一伝送路に歪みが与えられると、すべてのチャネルに影響が出てしまう点がデメリットです。
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というわけで正解は、
A=時分割多重もしくはTDM
B=同期
C=周波数分割多重もしくはFDM
となります。
なお、TDMのTは時間を表す「Time」、FDMのFは周波数を表す「frequency」です。
このアルファベット表記のみの選択肢もよく登場するので、こちらも覚えておいてください。