次の記述は、シール型鉛蓄電池について述べたものである。このうち正しい記述の番号はどれか。
1.構成する単セルの電圧は、約12[V]である。
2.電解液には希塩酸、正極には二酸化鉛、負極には金属鉛がそれぞれ用いられる。
3.密閉構造となっており、電解液は外部に流出しない。
4.定期的に補水を行う必用がある。
5.電解液の比重は、放電が進むにつれて低下する。
シール型鉛蓄電池は、充電することで繰り返し使うことができる「蓄電池」の一種です。
こんな形のもの、高校(中学?)で習った方もいるかもしれません。
私も習いましたが、すっかり忘れてました(笑)。
忘れてたとしても、試験までに覚えれば全く問題ありません。
では早速、各選択肢を順番に見ていきたいと思います。
--------------------------------
1.先に結論から言うと、シール型鉛蓄電池を構成する単セルの電圧は、公称2.0[V]です。
一般的に、電力を供給する目的で無線中継所などに設置されている蓄電池は、この「セル」がいくつも集まった状態です。
蓄電池の全体電圧は、例えばセルが24個あると2×24=48[V]、セルが50個あると2×50=100[V]となります。
なお、公称とは「(名前や値が)表向きに発表されているもの」という意味で、蓄電池の場合も、メーカーが表向きに発表している値が2.0[V]ということです。
まぁ公称云々はあまり気にしなくていいと思います。
--------------------------------
2.電極に使われる部分は正しいのですが、電解液に用いられるものは希硫酸です。
ちなみに二酸化鉛とは、鉛に酸素が結び付いたものです。
二酸化鉛が正極側なので、真逆に覚えないよう注意してください。
--------------------------------
3.その通りです。電解液が流動しないので「ドライバッテリー」とも呼ばれています。
また、液漏れする心配がないので横に寝かせて置くこともできます。
※天地を真逆にした状態で置くことはできません。
--------------------------------
4.シール型鉛蓄電池では、定期的な補水は不要です。補水が必要なのは、別の種類の「ベント型鉛蓄電池」の方になります。
これについては、後で少し紹介したいと思います。
--------------------------------
5.その通りです。電解液の比重とは、水と電解液の重さの相対的な比をいいます。
例えば電解液の比重が1.2の場合、電解液の重さは水の1.2倍となります。
放電によって、負極と正極それぞれで酸化還元反応が起こり、最終的に電解液内の硫酸の濃度が減るため、電解液の比重は低くなります。
なお、充電した場合は放電時と逆の反応が起きますので、電解液の比重は高くなります。
--------------------------------
以上より、正しい記述の番号は3と5になります。
ベント型鉛蓄電池とは?
ベント型鉛蓄電池は「液式バッテリー」とも呼ばれ、電解液の入った容器に2つの電極板を挿入した蓄電池です。
仕組みはシール型鉛蓄電池と似ていますが、こちらは容器が完全には密閉されていません。
このため、反応によって生じた酸素や水素は外部に逃げていき、時間の経過と共に電解液中の水分が失われるため、定期的な補水が必要となります。
加えて、蓄電池の位置によっては中途半端に屈んだ体勢で補水するので、割とハードです(笑)。
--------------------------------
中継所の保守担当になると、色々なタイプの蓄電池に携わる可能性が高くなります。
試験が終わって余裕ができたら、蓄電池ごとの特徴にも目を通してみてください。