無停電電源装置はUPSとも呼ばれ、停電や障害などの電源トラブル発生時にも重要な機器が稼働し続けられるように、電力を供給する役割を担っています。
<UPSの構成図>
交流入力というのは一般家庭のコンセントにも使われている商用電源で、その他整流器、インバータ、蓄電池(2次電池)、切換スイッチから成り立っています。
構成する機器それぞれの役割は下記の通りです。
●インバータ・・・直流電力を交流電力に変換する
●蓄電池・・・停電時に供給する電力を蓄える
●切換スイッチ・・・インバータ回路とバイパス回路との切換を行う
わざわざ交流→直流→交流と変換している理由は、その方が目的の値に近い(=精度が高い)電圧が出力されたり、商用電源のトラブルが直接機器に伝わりにくくなるからです。
万が一交流入力の波形が崩れていても、整えられる範囲であれば、問題なく供給し続けられるわけですね。
また、中規模以上のUPSになると電圧と周波数が一定の交流出力が得られるものもあり、これらは定電圧定周波電源装置(CVCF)と呼ばれます。
UPSの動作
ここでは、給電方式のひとつである「常時商用給電方式」について見ていきます。
動作といっても複雑なものではなく、電源を商用から取るか蓄電池から取るかの違いです。
<正常時>
商用電源に異常がないうちは、これがそのままバイパス回路を経て出力され、機器に供給されます。
同時に、トラブルに備えて蓄電池の充電が行われます。
<停電発生時>
停電等で商用電源からの供給ができなくなると、切換スイッチが瞬時にインバータ側に切り替わり、蓄電池から電力が供給されます。
<復電時>
復電して問題なく商用電源が使えるようになると、再度切換スイッチがバイパス回路側に切り替わり、商用電源が供給されます。
蓄電池の充電も再び始まります。
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無停電電源装置が大体どんなものか把握できましたか?
一陸特でこれに関する問題は、かなりシンプルなものが多いです。
下の図は、無停電電源装置の基本的な構成例を示したものである。( )内に入れるべき字句をそれぞれ答えよ。
このように、構成図とほぼ同じ形で問題が出たりします。
(答え)
A=交流
B=整流器
C=インバータ
D=交流
Dを「直流出力」と間違えやすいですが、パソコンやネットワーク機器は家でコンセント(交流)に繋ぎますよね。
ということで、こうした機器に接続するUPSは、交流を出力する必用があるのです。
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個人的には、UPSの仕組みは理解しておいて損はないと考えています。
というのも、UPSは停電時も機器を生かす重要な位置付けなので、実際の仕事でも携わる頻度が高いんですよね。
特に無線局全体の保守管理を請け負ってる場合は電源系統も含まれることがほとんどなので、
定期点検をしたり、
停電前後に配線を繋ぎ変えて問題ないかチェックしたり、
停電以外に急に電源が供給されなくなった場合に原因を探索したり・・・。
時間がかかる時もありますが、重要な機器を守ったという達成感は大きいので、是非理解を深めておいてもらえればと思います。